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「ただいま」 「お帰りなさいませ、リシンシさ、まっ?」 「森で拾ってきた。悪いが私の部屋まで運んでくれ」 「か、かしこまりました」  出迎えた執事に背中の男を任せ、私は大きく背伸びをした。  身体が無駄に軽く感じる。  二人がかりで二階に男を運ぶ執事たちを見ながら、私はこれからのことを考えた。  男を拾ってきたのは仕方がない事として、彼がもし犯罪者で追われていたのだとしたら、警吏に連絡したほうが良いな。  あの腹と足にあった傷は、見た目とは裏腹に深いものだ。  普通の争いでつけられたものならば、もっと何て言うか切り傷が刃物を引いた跡的なものになるはずだけど、彼のあれは刃物を引いた跡ではなく、突き刺し、最小限の動きで致命傷を与えようとしたものだ。  犯罪者、か。  でもここ最近、警吏が動くような事件は起きていないはず。  とりあえず彼が目覚めたら、訊ねてみるか。  目覚めれば、だけど。  私は足元の土埃を払い、バスルームへと向かった。
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