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『霧…濃いな……』
ハンドルを握る崇史は、少し車の速度を落としてゆっくりと車を前へと進めた。
『何だか不気味な場所ね……』
後部座席に美帆と一緒に座っている知奈美が、いつになく弱々しい口調で言った。
ウィンドーから不安そうに外の景色を見ていた美帆は、ふと自分の右手に圧力を感じた。
見ると右隣にいる知奈美が俯いて美帆の手を握っていたのだ。
知奈美の表情には恐怖の色が浮かんでおり、今にも泣き出しそうである。
『知奈美……大丈夫?』
美帆は怯える知奈美の背中をさすってあげた。
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