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川が視えてきた
川だけはちゃんと水を湛えて流れている。
良かった。これで少なくとも水には困らないハズ
そう安堵した次の瞬間、画面が切り替わる
粗末な衣装…衣装なんかじゃない。ただのボロ布だ
今の日本で同じような布を探しても絶対にみつからない。
それを身にまとった女の人が肌色の塊を川に棄てた
違う。塊なんかじゃない
それは生きた3歳位の人間だった…
名前も知らないその子供は恐らく何日も口にしていない為動く力が無かったのだろう。
体を動かす事もせずただ川の流れに飲み込まれてゆく
『仕方ないんだよ』
すべてを諦めたかのような弱々しい想いが流れ込んできた
仕方がない。それ以外に恨みも何も感じられない
間引き…。
言葉でしか知らなかったソレの光景を目の当たりにして初めて意味を理解した
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