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村ぐるみで順番を決めて死人を提供しあう
そして食べる。
何百人もの人が死んでいって
何百人もの人がそれを食べた
動けなくなったら看病はおろか水も飲ませてもらえない。
早く死なすため…
早く食べるため…
かろうじて呼吸するしか出来ない痩せ衰えた体を横たえて。
食事はおろか水さえも与えられず暖かい言葉ももらえずに死を待つのはどんなに苦しかっただろう
残された遺骨はたいていが川へ流された…
何百もの命が、その残骸が流された。
人は死んでも消滅する訳ではない。
自分が誰かの胃袋に収まる様子をどんな想いで見つめていたのだろう
人がただ生きるためだけに生きていた時代の避けられなかった悲しい事実
ソレは飢饉が終わるまで続いた
当時を生き延びた人々の中にだけ記憶としてその事実は残り
その人々が死んで完全に忘れ去られた
人は自分達が侵した禁忌を口にしたり後世に伝えたりなんかしない。
自分達の秘密として闇に葬る事を選んだんだ
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