手と自分。-1人目-

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私は転がるように移動し、 自分の机と壁のすき間に 手を入れた。 ゴソゴソ… ゴソゴソ…… がさっ 「あった…」 人差し指と中指で中のものを 引っ張り出す。 ホコリを払い、広げてみる。 ――中学二年生のときに 描かされた、自分の手。 じっくり観察する。 「…違う」 そこにあったのは 整った線と 薄い色の影。 Vサインをしている 中指は尖んがっていて、 人差し指は中指よりも長かった。 「違うよ、違う……」
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