手と自分。-1人目-

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「…私は“私”を探しているの。 理由はね、私が 半分こ に なっちゃったからよ」 話がややこしそうだ。 が、親が家に入れてしまい、 私も話を聞いてしまった以上 ここで引くわけにもいかない。 「半分こ になったときね、私達にね、名前が付けられたのよ」 少女は スッと立ち上がり、 桃色の汚れたワンピースの 裾を掴むと… 「これを見て」 パンツがモロに見える程 豪快にめくり上げた。 いや、幼児体型そのもので、 それを見て興奮するような タイプではなく、 もっと成熟した方g…―― いや、なんでもない。 「見てよっ!」 「へ?あ、うん…」 少女の右の太もも を見ると、 “83641272:ユヘイミ”と 刻まれた文字を確認できた。 「私はユヘイミ。 もうひとりの私は 左の太ももに“ミヘイユ”。 知らない?」 ミヘイユ。 どこかで聞いたことがある。 …ような気がしないでもない。 確かあれは、そう! 今日の学校帰りに――――……
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