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うん、アレだね。現実ってキビシー。
ええ、果敢に挑みましたよ。挑みましたとも。
でもニ対一ってのは勝ち目はないよな。うん、仕方ない。
……体の節々が痛い。悲鳴をあげている。
いやー、陳腐な映画なら不良なんて雑魚だから行けるさー、なんて、一瞬でも考えた自分が恥ずかしい。
「ケッ、興が冷めたぜ。行くぞ」
「ハッ、いいクスリになったな、兄ちゃん」
ああ、不良どもが去っていく。
同時に、彩奈さんが背中までの黒髪を靡かせながら、こちらに走ってくる。
「涼(リョウ)くん、大丈夫!?」
ああ、そんな捨てられた子犬を見るような目で見ないでくれ。悲しくなってくる。
「――大丈夫、じゃないよね。すぐ救急車を――」
「いや、いい」
救急車なんて恥ずかしくて乗れるか。怪我の理由が理由だ。
「と、とにかく手当てはしないと」
「いや、だから、いい」
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