WEDNESDAY

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PM3:50 「いまだ犯人の声明は発表されておらず、動機、目的共に不明の状態です。 残り10分を切りました。 現場の方、伊藤さん?」 画面が切り替わり、背の低い男性がマイクを持っていた。 「はい、こちらご覧ください」 そう言ってカメラは多少のブレがありながらも対象を捉えた。 「こちらが殺害予告の記された明石衆議院議員の息子明石紀史の自宅です」 カメラには荘厳な屋敷が写っていた。 白で統一されていて、芝生の整った庭が低い塀の家から浮き彫りになっていた。 ただ明らかにいつもと違うとわかるのは、屋敷の周りに張り巡らされた警官の数だった。 芝生の緑でさえも見せないと意図しているように、実際そうなのだろうが、過剰に屋敷を守っていた。 「君さん!」 一人のスポーツ苅りの男が記者団の、その中の一人に駆け寄った。 記者団の数も半端ではなかった。 屋敷から数メートル離れたところまでを黄色い捜査テープで囲んでいた。 記者はそこに押し詰めかけるようにして、修学旅行の記念撮影のような配置になっていた。 というのも、最初は屋敷の玄関を正面にしていたのだが、警察が出入りをするさいの邪魔になり、怒った警官が記者を横に誘導してしまったのだ。 「時間がないぞ」 君島と呼ばれた男はまだ若いのに白髪混じりで、しかしその分インテリ要素がたくさんあるように思えた。 君島のところに駆けていったスポーツ苅りは息を切らしながら膝に手をついた。 「急げ、今居。 もうすぐ始まるぞ」 君島は今居に声をかけた。 「君さんがテレビの放送内容を調べてこいって言ったんじゃないですか?」 「・・・で?」 「一般視聴者向けのありふれた報道でした。 犯行予告のことについて、明石紀史についてでした。でも、外の警官だけではなく中にはえりすぐりのボディガードを用意したことまでは掴んでいないみたいっすよ」 今居はカメラを君島の横のバッグから取り出した。
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