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今日は医者からとにかく家に帰って寝ろと言われた。
自分は大雨の中一人で家に向かった。
道路は自分一人だけで歩いてるように感じた。
雨は髪を濡らし、心まで濡らした。
周りの景色が血の色に見えた。
中島……と、ずっと呟いている。
最後に握った手をぼやっとしながら見ている。
帰り道に中島の事ばかり考えているとようやく家に着いた。
「ただいま」
ただそれだけ言って自分の部屋に入ると扉の鍵をかけた。
「どうしたの?」
母は心配そうな声で呼びかけてきた。
自分は黙りこんだ。
黙りこんだってなにも解決しないと知っていてもなにも話さなかった。
ベッドの中に入ると死んだように動かなくなった。
“守ってやれなかた……”そう心の中でそっと呟いた。
外は雨が止んで曇り空になっている。
もうずいぶんと夜だが眠れなくなっていた。
自分は家族が寝ている事を確かめると下に降りてコーヒー牛乳を作った。
コーヒーと牛乳を入れると白と茶色に分かれた。
混ぜて見ると美しい綺麗な落ち着いた色になった。
自分はそのコーヒー牛乳を口に運んだ。
自分は知らず知らずのうちに泣いていた。
「なんで……泣いてるんだ」
涙を止めようと顔を服で拭くが、涙は止まらない。
涙はポタッポタッとコーヒー牛乳に入った。
「涙……涙っていったいなんなんだ……」
自分はコーヒー牛乳を飲み終えると、また自分の部屋に入りドアの鍵を閉めた。
しばらく泣き続けた。
涙は次第に出なくなった。
声は枯れて涙も枯れ、心まで枯れた。
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