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一睡もしないまま、朝になった。
涙はもう枯れている。目は充血していて、ひどい顔だ。
外は元気のよい日差しが照りつけているが、この部屋は時が止まったかのように暗く、悲しく、そして死んでいた。
「賢一。ご飯よ!」
母が声をかけてきた。いつもは自分で起きるのだが今日は起きないので声をかけに来たのである。
「賢一?」
母は不思議そうな声で言った。
「気持ち悪い。今日学校休む」
いつも以上に暗い声で言った。
「学校休むの?熱あるの?」
母は階段を上ってきて、心配するような声で言ってきた。
そんな心配する母がむかついて、つい
「うるせーよ!休むって言ってんだろ!」
と暴言をはいてしまった。
「あ……そうなの?ごめんね……」
母は自分が一度も暴言をはいたことが無いため、ビックリしたような怯えたような声でそう言った。
母はゆっくり階段を下りていった。
「なんで……こんな事になったんだよ!」
毛布を体に巻きつけ小声で言った。
出来る事なら夢であってほしかった。
ケータイを見てみるとメールが一件入っていた。
そこには“今夜午後8時から中島雅のお通夜があります。お手数ですが中島の家に来て下さい。住所は○○区○○番丁”と書かれていた。
「お通夜……。葬式……。なんで死んだりしたんだよ!雅!」
誰もいない部屋で自分は叫んだ。
叫んだところで彼女は帰ってこない。
すると“ピンポーン”と下から音がした。
しばらく時間が立つと「賢一!警察が来てるわよ!」
自分は仕方なく下に下りた。
母は目が充血してげっそり頬を落とした自分を見ると驚いた顔をした。
玄関のドアを開けると“ひやっ”とした冷たい風が吹いていた。
そして暗い部屋に閉じこもっていたため光が目を激しく刺激した。
「君が賢一君かい?」
「はい。そうですがなにか……?」
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