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手を握りながらあるいている自分と彼女は周りの風景にとけ込んでいた。
｢賢一｣
彼女は俺をじっとみつめ始めた。
そして握っている手をより強く握った。
｢なんだよ！｣
なぜか自分は“ドキッ”と今まで感じた事のない感覚に襲われた。
｢なんでもない｣
彼女は冷たい顔をして目をそらした。
その時彼女の顔は笑っていなかった。
｢あ……そう｣
いつも笑っている彼女が笑わない所を始めて見たのでそれしか言えなかった。
無言のまましばらく歩いていた。
手だけはがっちりつないでいる。
｢あのね。私ね賢一に隠してた事があるの｣
彼女は顔を真っ赤にしている。
｢なに？｣
隠し事ってなんだろう？
｢ちょっと目つぶってて｣
彼女は俺の顔をつないでない手で隠した。
自分はそれにあわせて目をつぶった。
横からゴソゴソとバックをいじる音がきこえる。
目をつぶっていると急に“ドン！”と軽く体が揺れた。
なんだ？と不思議に思ったが目をつぶり続けた。
すると強く握っていた手が離れた。
その瞬間“ドサッ”と何かが倒れる音がした。
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