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校長のとてつもなく長い話、教師紹介や校内説明などを聞いているうちに、1時間ほどたった。
英治は眠気に耐えられず半目でウトウトとしている。
秋人はメモをとりながら真剣に話を聞き、ふと隣にいる英治が視界に入るたびにため息をついて呆れていた。
『えーここで生徒会からのお話しです』
まだあるのかよ、と英治が項垂れる。
もう止めてくれという英治の意思に反して、司会が生徒会を誘導し始めると、2、3年生がなぜかザワザワとしはじめた。
明らかに今までと違う周りの反応に動揺し、秋人は英治の肩を揺する。
「英治!起きなよ!なんかこれ、聞いた方が良さそうな雰囲気だよ…」
だが、英治はこれ以上長い話を聞くのに嫌気がさしたのか半目どころか白目を向いていた。
「まったく…」
秋人が呆れて肩を下ろすと、ずいぶんとデカデカとした態度で歩いてくる生徒が教壇に立って話し始めた。
秋人は横目で英治を気にしながらも、急いで正面に向き直る。
「そして、ここからは単刀直入に言うが、最近の我が校では…
“レイプ”や“セクハラ”が急増している」
「へっ・・・?」
今まで大人しかった秋人が反射的に声を漏らし、口を開けて呆然としている。
白目を向いていた英治は目をギョッと見開いて咄嗟に起き上がり、バランスを崩してイスから落ちそうになった。
なぜか2、3年生、教員はいたって冷静で、動揺した雰囲気もない。
ザワついているのは何も知らない新入生だけだ。
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