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「聞いてない聞いてない俺は聞いてない聞いてない聞いてない俺は聞いてない」
英治は現実逃避をするかのように、再びお経のような言葉を唱え始める。
そんな英治の苦痛の叫びなど届くはずもなく、再び風紀委員は喋り始めた。
「なお、まだこの環境になれがない新入生は特に注意が必要です。ウトウトしてたら…簡単に食べられてしまいますよ?」
「た、食べられる・・・?」
ただでさえ混乱している英治頭上に、更にハテナが浮かぶ。
そこへ、知らなくてよかったことを秋人が補足するかのように続けて話した。
「き、きっと、僕が思うに・・・襲われるってことだよ・・・“男に”」
「お、襲われ・・・!!!?? き、聞いてない…き、聞いてな、い俺は聞、いてない…聞いてないぞ……っ!!!」
フラフラと今にも倒れそうになっている英治に、秋人は慌てて声をかけた。
「英治!だ、大丈夫だよ!ほら!もしかしたら緊張してる新入生をほぐすためのドッキリかもしれな…」
「なお、これは“嘘ではありません”以上です」
………。
…………。
「聞いてない聞いてない俺は聞いてないからな!聞いてないからなッ!」
「う、嘘に決まってるよ!まったく英治は深く考えすぎだな…あは、あはは」
生徒会の話を聞き、トイレで見るも恐ろしい光景を見た英治にとって、もう慰めはきかなかった。
全てのつじつまが合ったのだから。
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