ー転校ー

11/32
前へ
/179ページ
次へ
一階から理事長、もとい幸恵の慌てた足音が聞こえる。 確か、電車の中で見た高校のお知らせには… 二年生は8時30分までに各自教室に着席のこと。 只今の時間… 7時30分。 急いだ方が良さそうだ…。 「おはよう、お姉ちゃん。」 学校の支度が終わり、一階のリビングに向かおうとすると、鈴が挨拶してくれた。 →・おはよう。 ・今日も可愛いね、鈴。 ・…誰? ・みんなはよーっ! 「…おはよう、鈴ちゃん。」 「うんっ!あ、ごはん出来たよ?早くたべよ?」 昨日の夕食で打ち解けてくれたのだろうか、明るくなった気がする。 「お姉ちゃん、はやくー!」 一緒に食べることにした… 「行ってきまーす。」 朝御飯を食べ終わり、歯を磨いて一緒に外を出た。 朝御飯を食べているときに鈴に聞いたが、始業式は学園規模で執り行われるらしく、入学式は各1年生のみだと言う。 在学生は始業式を終われば教室に戻り、連絡を聞いて終了…と言う流れ。 通学中にも1年間の学園で執り行われるイベントを大体ながら聞けた。 来月は「皐月祭」と言うお祭りがあるらしい。どんなお祭りなのだろうか? 話合っていると、どうやら目的地に着いたようだ。 -愛海学園 校門前- 「ついたよ、お姉ちゃん。」 校門前で振り返った鈴の背景には、数多の桜。中央広場へ続く桜道があった。 淡く桃色に咲いた桜が、額から離れ一枚、一枚…雪のように落ち、雪のように積もっていく。 春なのに、雪のように冷たい風が吹いた。 「っ!…まだ寒いね、お姉ちゃん。」 4月とはいえ、まだ寒さが抜けきってない。…鈴が風邪を引く前に送り出さなければ。 「…見たことない人物です…、き…きゃわいい!!」 校門のすぐ裏(学園内)から光る2つの目… その光は、日向子を追い続けていた…
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

740人が本棚に入れています
本棚に追加