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一階から理事長、もとい幸恵の慌てた足音が聞こえる。
確か、電車の中で見た高校のお知らせには…
二年生は8時30分までに各自教室に着席のこと。
只今の時間…
7時30分。
急いだ方が良さそうだ…。
「おはよう、お姉ちゃん。」
学校の支度が終わり、一階のリビングに向かおうとすると、鈴が挨拶してくれた。
→・おはよう。
・今日も可愛いね、鈴。
・…誰?
・みんなはよーっ!
「…おはよう、鈴ちゃん。」
「うんっ!あ、ごはん出来たよ?早くたべよ?」
昨日の夕食で打ち解けてくれたのだろうか、明るくなった気がする。
「お姉ちゃん、はやくー!」
一緒に食べることにした…
「行ってきまーす。」
朝御飯を食べ終わり、歯を磨いて一緒に外を出た。
朝御飯を食べているときに鈴に聞いたが、始業式は学園規模で執り行われるらしく、入学式は各1年生のみだと言う。
在学生は始業式を終われば教室に戻り、連絡を聞いて終了…と言う流れ。
通学中にも1年間の学園で執り行われるイベントを大体ながら聞けた。
来月は「皐月祭」と言うお祭りがあるらしい。どんなお祭りなのだろうか?
話合っていると、どうやら目的地に着いたようだ。
-愛海学園 校門前-
「ついたよ、お姉ちゃん。」
校門前で振り返った鈴の背景には、数多の桜。中央広場へ続く桜道があった。
淡く桃色に咲いた桜が、額から離れ一枚、一枚…雪のように落ち、雪のように積もっていく。
春なのに、雪のように冷たい風が吹いた。
「っ!…まだ寒いね、お姉ちゃん。」
4月とはいえ、まだ寒さが抜けきってない。…鈴が風邪を引く前に送り出さなければ。
「…見たことない人物です…、き…きゃわいい!!」
校門のすぐ裏(学園内)から光る2つの目…
その光は、日向子を追い続けていた…
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