ー転校ー

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--4月-- とある私鉄、とある窓側の席に、女子高生らしき制服を身に纏った女の子が一人座っていた。 その女の子は窓側を頬杖をつきながら見つめ、思い更けていた…。 先月… 「…みんな、突然だが今日限りでこいつが転校することになった。」 ざわめく教室。またか、これ除いて何度目って言ってたっけ、という声が目立つ。 女の子はただ、無言で一年間しか過ごさなかった教室を一通り見回していた。 転校することには慣れていた。幸いにも今まで転校する先々では上手くやっていけた。 こう何度も転校するのは、両親の仕事の関係が主だった。 父親はアメリカへ営業に、母親はイギリスへデザイナーの仕事で渡った。 殆ど同じ職場で日本から離れることがなかったので今回は父方の妹、所謂叔母のところで一年間預かって貰うことになった。 聞くところによると、叔母は子供と2人暮らしをしている、所謂シングルマザーだそうだ。 子供は小学四年生で、女の子。妹のように可愛がってやってくれと言われた。
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