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「むさ苦しい男子はお断りだけど、かわいい子は男の子女の子問わず大歓迎よ!」
…と、叔母が言っていたそうだ。
上手くやっていけるのだろうか…?
そして、自分の住んでいた街から電車に乗って二時間、更にバスに乗って三時間…。
目的のバス停のアナウンスが流れた。
そろそろ降りなければ…。
バスから降りると、親子らしき二人が近づいてきた。
「あらぁ、お久しぶり!…て言っても、会ったのはあなたが赤ちゃんのときなんだけどね。覚えてる…?一応名前言っておくけど、植木幸恵(うえきさちえ)。サチって呼んでね?」
親らしき女性…幸恵が笑いながら話してきた。
…?さっきから幸恵の後ろに小さな子が見え隠れする。
「あぁこの子が私の子、名前は鈴(すず)って言うの。」
鈴と呼ばれた少女は、ただじっと幸恵の後ろに隠れて自分の方を見ていた。
「恥ずかしいのかな?まぁ仕方がないかな、あなたってばスッゴく可愛いもの。一目みて惚れかけたわ…ううん違う。惚れちゃった、かも。」
口は笑っているが、目は妖しく光っている…ように見えた。
「…お母さん…、しつれいだよ。」
鈴が幸恵の服を引っ張り止めにかかった。幸恵は我に帰った。
「あ、あぁ…危ない危ない…兄さんにまた女喰いって言われる…。ほら、鈴も自己紹介なさい。」
途中、ゾッとするような単語が出て来た気がしたが、鈴の自己紹介に集中した。
「…よろしく。」
→・よろしく。
・可愛いね!
・ちゃんと、言えよ!!
「…よろしくね。」
軽く挨拶すると、顔を赤らめて幸恵の後ろに隠れてしまった。
「ふふっ、やっぱり恥ずかしいのね。私にそっくり!…さて、そろそろ車に乗りましょ!荷物貸して?トランクに積めるわ。」
俄かに疑問を感じたがセリフの最後には賛成し、荷物をトランクに積めた。
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