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時間がゆっくりと過ぎていくような感覚。
舞をゆっくりと抱きしめる。
「うっ・・・うぅぅぅっ・・・うぅぅぅううぅぅっっっっ・・・。」
仁の力ない泣き声が玄関に響いた。
いつの間にか嵐は止んでいる。
月明かりが仁を照らしている。
嘲笑っているのか。
それとも同情しているのか。
どちらでもないのか。
だが、泣き続ける仁を照らす月明かりはどこか無情な雰囲気を醸し出していた。
残るは仁一人。
生き残りは仁しかいない。
大切な人をすべて失った。
24時間足らずで。
絶望だった。
舞を抱きしめながら究極の絶望を味わっていた。
だが、今度は死ぬ気にはなれなかった。
逆に仁を生きさせようとした。
この館にはまだ犯人がいる。
舞以外の何者かが。
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