285人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
迎えのフェリーが来るまではおそらくまだ時間があるだろう。
それまでに犯人を見つけ出し、同じような目にあわせてやる。
これじゃあ正当防衛にならないから罪だ?
関係ないね。
罪だろうと、犯人がしでかした罪の何分の一の罪なのだろうか。
仁は怒りに震えていた。
こぼれ落ちる涙が舞の顔に付く。
それを指でぬぐってやる。
「みんな奪われちまったな・・・。あとはあの親父と二人仲良く暮らすのか・・・。」
舞を床に寝かせ、舞の顔を眺めながらゆっくりと立ち上がった。
「・・・武器になるものを探そう。」
仁はぐっと、握り拳を作り物置へと歩き始めた。
足取りは妙に重い。
無理もないが。
時間をかけてゆっくりと確実に歩く。
物置に武器になるものがあったはずだ。
合羽を取りに行った時の記憶を探り出す。
気がつくと仁は物置の前に立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!