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人が左側廊下の扉から談話室に入るとすでに全員が談話室に集合していた。
「ちょっと!遅いじゃないの!」
沙希が、高級感漂うテーブルを囲うように配置されたソファーから立ち上がりながら怒鳴った。
仁は咄嗟に携帯の時計を見る。
12時55分。
1時集合だったから、セーフのはずだ。
なのに、なぜ沙希が怒っているのか仁には全くの謎だった。
「え、いや。集合時間には間に合っていますよ?」
仁はあわてて沙希に言った。
「とっくに全員集合してたのに、仁だけよ?5分前に来たのは。集合時間ギリギリに来るなんて考えられないわ。」
沙希が腕組みをする。
「そんなこと言われても・・・。」
ついつい寝てしまった自分を仁は恨んだ。
居眠りさえしなければもっと早く集合できたのではないだろうか、と。
いやいや。
そんなこと考えたら負けだ。
集合時間までに来たのだからセーフのはずだ。
それなのに怒られるのはおかしい話だ。
仁はそう考えることにした。
「言われても、何よ?」
沙希が一歩近寄る。
「な、何でもないですよ。」
負けた。
沙希には誰も勝てない。
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