到着

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「大体なあ、幼なじみに話しかけられて喜ぶやつがいるか?」 仁は舞をじっ、と睨んで言った。 「そりゃ、生まれたときから一緒みたいなものだからそんな反応になるのはわかるけど・・・。」 舞は俯く。 「なんかショック受けるかな。」 舞は苦笑いを浮かべる 「嘘つけ。」 仁も苦笑いで答えた。 「ひどーい!」 「あはははっ」 仁も舞も吹き出した。 なんだかんだ言ってはいるが、他人から見れば仲のいいカップルである。 「なーにイチャイチャしてんだよ、仁。」 仁と舞は声がしたほうに振り返った。 「静馬。お前、沖先生に宿題見てもらってたんじゃないのかよ?」 「だって沖先生、船酔いするんだぜ?」 この静馬と呼ばれた男子は大河内静馬(おおこうち しずま)。 短く切った髪型は、のびた坊主頭みたいだ。 大河内とはすごい金持ちみたいな苗字だが、静馬は本当に金持ちなのだ。 静馬も仁といつも一緒に女子の尻を追っかけている健全?な高校男児だ。 「なんだ、沖先生酔ったのか。先生のくせに、だめだな。」 仁はやれやれと肩をすくめてみせた。
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