戯曲 Ｄ

愛とは……

暗転

ゆうじ｢ねえ、みそ汁の味噌なんにする？赤味噌？白味噌？僕は合わせ味噌に一票だな｣

暗い中、包丁の音。海の音が聞こえる。レクイエムが流れて来る。

ゆうじ｢一体ここがどこかもわからない。どうやら僕らは世界で二人だけになってしまったみたいだ｣

キリエ｢ゆうじアイシテル｣
ゆうじ｢いや、三人かな。なあキリエ｣

キリエ｢ゆうじアイシテル｣
ゆうじ｢子供が産まれたらなんて名前にしようか｣

キリエ｢ゆうじアイシテル｣
ゆうじ｢愛……愛にしようか？愛の意味がわかる子に育つように｣

キリエ｢ゆうじアイシテル｣
ゆうじ｢キリエ、愛ってイタリアではなんていうか知ってる？……｣

声はフェードアウト。レクイエムが大音量で流れ、突如止まる。