優曇華(うどんげ)の花…その一

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母は、その日朝早く目が覚めてしまい、 廊下から何気に外を眺めたそうです。 柿の木にふと目をやると なんか白いものが朝日に当たって光っていて、 何だろうと思って、パジャマのままで出てみると、 悲鳴をあげそうな程の優曇華の花が 柿の木に、びっしり咲いていたそうです。 誰かに見られて、祖父に知れたらという思いと、 子供達に見せてはならないと想い、 南無阿弥陀を唱えながら、 無我夢中で急いで、 全て取り除いたと、 言うのです。 小さい頃、母は、母方の祖母に、散歩の途中で、 ちいさな盆栽についた優曇華の花を見せられて、 この花が咲いたら、ここのうちの人は、亡くなるよ。 だから、お家で見かけたらすぐ母さんに知らせなさい。 けして、子供がさわってはいけないよと、 教えられたそうです。 そのときは、○○さんのお婆ちゃんが、何日か後に亡くなったと…。 あれ以来の事で こんなにびっしり付くなんて、知らなかったし、 咲いている様をまさか目の当たりにするなんて、 本当は、 怖くて、怖くてたまらなかったそうです。
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