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キミと離れて何年目の冬が来ただろうか。
今でも俺は待ち続けてるんだよ。
キミと最後に逢った街を見渡せるこの公園で。
だって約束したじゃないか。
“また、いつかの冬にこの場所で”
約束…したのに…
どうして?
キミはもう居ない。
笑わないんだ。
しゃべらないんだ。
どうして……
涙で世界が滲む。
その時冷たい風が吹き、真っ白い光りが俺を包んだ。
あまりの眩しさに目を瞑る。
薄目を開けて唖然とした。
──気づいたら目の前にキミが居たんだ。
「…ぁ…あ…」
上手く言葉が出ない。
出るのは涙ばかり。
そんな俺を彼女は寂しそうに微笑んでそっと俺の頬を撫でた。
びっくりするほど冷たくて、彼女が愛しくて、
抱きしめようとした瞬間、
俺の腕からすり抜けて、白い光りと共にキミは消えた。
「ぅ…ぁぁああッ」
空に向かって泣き叫ぶ。
頬に冷たいものが触れた。
“雪”だ…。
“それ”は彼女と似ていて、
冷たくて、寂しくて、
でもどこか温かくて、優しかった。
“泣かないで”
彼女はそう言ってる気がしたんだ。
だから俺は空を見上げて笑った。
「…また…いつか…逢えるよな」
今起きた出来事は、ほんとに現実に起きた事なのかはわからない。
けれど俺が笑うと、彼女も嬉しそうに笑った気がしたんだ。
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