*半年の代償*

5/6
前へ
/19ページ
次へ
それから地獄の日々が始まった。 薬の副作用。 フラッシュバック。 被害妄想。 どれもひどいものだった。 ある日彼女が自分の家で突如叫び声をあげた。 驚いて彼女にかけよると、彼女は“何もいない”床や自分の体を手で払ったりしていた。 「おい!!どうした!?」 「いやぁ!!!虫が…虫が」 …虫…?? 明らか何もなかった。 「いやぁあぁぁあああああああ!!!!!!」 彼女は台所に走って行った。 俺は慌てて追いかける。 でも、遅かった。 「ぁぁあああぁああッ!!!!」 包丁を振りかざし、 自分の体に、 刺した。 何度も、何度も。 彼女の体は見る見るうちに赤く染まっていく。 「やめ…おい!!!やめろ!!!」 とっさに腕を抑えようとしたら、彼女が「触らないで!!!!!」と包丁を振りかざし腕をかすめた。 うっ、とうめき声をあげると、切れた腕から血がにじみ出てきた。 彼女はそれを見て動きを止めると、また絶叫して気を失った。 彼女の体からはありえないほどの出血。 慌てて救急車を呼ぶ。 担架で運ばれて行くキミを俺はただ呆然と見ていた。 一緒の救急車に乗った。 救急車の中で、腕を治療してくれた。 何も感じなかった。 ただ目の前で起きた出来事が信じられなくて。  
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加