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彼女は病院に到着するとすぐに手術室に連れて行かれた。
病院に来ても、やはり自分はただ呆然と手術中と光っている何かを見つめていた。
それから1時間くらいだろうか。
彼女の両親が走ってきた。
俺は事情を説明しようとした。
彼女のお父さんは俺に殴りかかる。
壁にもたれかかった俺の胸ぐらを掴んで睨みつけた。
「お前という奴がいながら、何だこれは!!!!お前は何をしてるんだ!!!!!」
いつもは温厚な彼女のお父さんが、ものすごい血相で吐き出した言葉はトゲトゲしくて、俺の心を串刺しにした。
「すみません…でした…」
謝る事しか出来なかった。
「今さら謝られてもな、もしあいつが死んでたら…
…私がお前を殺してたよ」
彼女のお父さんは最後に俺を壁に強く押し付けると、ドカッと椅子に座った。
彼女のお母さんは俺の方を見ないようにして隣に座った。
2人とも彼女が麻薬に手を出したなんて、知らないんだろうな。
手術中の光りが消えた。
彼女の両親はすぐさま立ち上がる。
手術室から出てきたのは色々な器具が取り付けられ、包帯だらけの変わり果てた彼女だった。
「…命は無事です。ただ、しばらくの間は、ここで入院してもらいます」
医師が両親に向けて言った言葉。
命“は”無事。
麻薬の使用に気がついているように思う。
俺が彼女に近づこうとすると、
「もう二度と娘に近寄るな!!!」
彼女のお父さんはそう言い残して、彼女を乗せた担架の後を追った。
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