石本 香奈美

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生まれた時から、 頭の痛くない日なんて、 1日もなかった。 その原因は、 いつだって、 アタシ以外の誰かだ。 「ちょっと、カナッチ。  ハナシ聞いてる??」 ほら、また痛くなった。 「ごーめん、ミチ。  持病の頭痛がさ」 アタシは、 むりやり笑顔を作って、 クラスメートに答えた。 「ワカルワカル。  つまんねー毎日だもんねー。  親とか学校とかさ」 ミチはおおげさに、 ブンブン頭を振って頷いた。 また頭が痛くなってくる。 ミチは気楽でいいな。 アタシもミチみたいだったら、 こんな痛みだってないんだろうけど。 そんなことは無理な話だし。 メガネの位置直すふりして、 こめかみ揉んで、 痛みを誤魔化すのが精一杯。 痛いのに変わりないけど、 やらないよりはマシと思えるから、 やってるだけ。 もう癖みたいになってる。 ミチはクラスメートであって、 相談できるような友達じゃないし。 まあ、ミチにとっては、 “トモダチ”なんだろう。 ようするに、 同じようなことやって、 同じようなこと喋って。 それで仲良しとか言ってる、 そんな薄っぺらい関係。 それでも、 アタシの繋がりとしては無害なほうで……。
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