石本 香奈美

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「あれれ?  カナナー、どしたん?」 出た、やっぱりコイツが。 コイツっていうのは、 クラスメートの男子。 名前は飛田 達(とびた たつ)って言って、 不本意ながら幼なじみ。 みんなは“トビタツ”って呼んでる。 同年代の男子なんて、 みんなバカだけど、 コイツはとびっきりのバカ! うるさいし、すぐ騒ぐし。 小学生でもやらないようなイタズラをしては、 みんなに笑われてる。 それで本人は、 人気がある、 とか思ってるんだから、 ほんっとバカ。 コイツが、 アタシの頭痛を一番ひどくさせる。 ほんとに迷惑なヤツ。 「なんでもない、頭痛いだけだし」 「カナナー、真面目だもんな。  もっと気楽でいいのに」 「誉めてもなけりゃ、アドバイスにもなってない!」 あんまりムカついたから、 つい大きな声で叫んだ。 クラスのみんなが、 振り向いてアタシを見る。 「あ、ごめん。  なんでもないから……」 コイツが変なこと言うから、 余計なことまで言わなくちゃいけなくなった。 ほんと、勘弁してほしい……。 「オイラにできることなら、力になるよ?」 「じゃあ、あっち行ってよ。  ウザいから」
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