明日が来るまで私は泣かない

入院生活

脳腫瘍発覚から三日後の夕方。親友の今井まどかと新井鈴奈が秋良のお見舞いにきた。
「久しぶり秋ちゃん。」
いつもと同じように接してくれて秋良の大好物のシュークリームをくれた。
「早く退院してまた学校来るんだからね？分かった？」 「秋ちゃんなら絶対に元気になるで♥一緒に頑張ろうなぁ！！」
２人はいつもの様に明るく秋良を励ましてくれた。
「ありがとう・・・」
秋良は少し笑って応えた。秋良は誰の前でも笑顔で応えた。八嶋がお見舞いに来た時は元気のない八嶋を逆に秋良が励ましたほどだった。

八嶋と寺島が横断歩道の前で止まった。黄色がチカチカして赤に変わる。
「秋良、意外に元気だったよな？」
寺島が言う。
「馬鹿言え、あいつは意地っ張りなんだ。夜は１人で泣いてんじゃねぇの？」
夏にしては冷たい風が吹いた。信号の色が赤から青に変わる。２人は静かに歩きだした。