51人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めたら病室に戻っていた。
「秋良・・・ごめん。」
椅子に八嶋が座っていた。頭を下げて。
「あれ・・・試合は!? 試合はどうなったの!?ねぇ!?」
しばらくの沈黙が続いた。「途中で棄権した・・・」「えっ・・・」
「お前が倒れたから心配でここまで付いてきた。」
「えっ・・・なんで。」
「何でって・・・」
「何で試合放棄したのよ。凄く頑張ってきたんでしょ?!何で止めたの?何で?もうちょっと試合みてたかったのに・・・」
途中で秋良は泣き出した。「わたしの寿命はそんなに長くないんだよ?!」
「何言ってんだよ!まだ生きるに決まってんだろ?!何死ぬ死ぬびびってんだよ?お前が生きたいと思えば何十年も生きれるわ!!」
「そんなの分かんないでしょ?!いつ死んじゃうか分かんない中で生きてんだよ?怖くて当然じゃん!」
泣きながら秋良は八嶋の目を見た。
「もう卓球なんかできないかもしんないんだよ!?」
その言葉が八嶋稔の胸にひどく突き刺さった。
最初のコメントを投稿しよう!