2897人が本棚に入れています
本棚に追加
゛第3節~試合と悲劇と決断と~゛
ツバサは悩んでいた。
いや。混乱していると言った方が正しい。
ツバサのなかでは゛告白は男から゛
という概念があったからだ。
それが邪魔していまだに,答えをだせずにいた。
それに,部活では夏の本選をかけて普段の倍も練習をしていた。
『今日も練習疲れだぁ~。』
ツバサは家に帰るとベットに倒れ込み,寝てしまうのだった。
これも答えを出せずにいる理由かもしれない。
゛ミーンミンミー゛
セミが近くで鳴いているなか,夏の予選のメンバーが発表された。
もちろん,ツバサや大樹はベンチだった。
しかし,発表のあと監督に二人は呼び出された。
「お前ら二人はバッテリーを組め。ツバサがピッチャーで,大樹がキャッチャーだ。
今年の新人戦までにしあげとけ。」
監督はそう言い残し,レギュラー陣の指導へと戻った。
「おぃ。バッテリーだってよ。」
大樹がビックリしたように言った。
『あっ,あぁ。』
ツバサもまたビックリしていた。
この時,ツバサは彩乃の事が頭をよぎった。
『この新人戦を勝ち抜いたら彩乃に答えを伝えよう。』
そう心に誓ったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!