第1章『彼女からの告白』

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゛第3節~試合と悲劇と決断と~゛ ツバサは悩んでいた。 いや。混乱していると言った方が正しい。 ツバサのなかでは゛告白は男から゛ という概念があったからだ。 それが邪魔していまだに,答えをだせずにいた。 それに,部活では夏の本選をかけて普段の倍も練習をしていた。 『今日も練習疲れだぁ~。』 ツバサは家に帰るとベットに倒れ込み,寝てしまうのだった。 これも答えを出せずにいる理由かもしれない。 ゛ミーンミンミー゛ セミが近くで鳴いているなか,夏の予選のメンバーが発表された。 もちろん,ツバサや大樹はベンチだった。 しかし,発表のあと監督に二人は呼び出された。 「お前ら二人はバッテリーを組め。ツバサがピッチャーで,大樹がキャッチャーだ。 今年の新人戦までにしあげとけ。」 監督はそう言い残し,レギュラー陣の指導へと戻った。 「おぃ。バッテリーだってよ。」 大樹がビックリしたように言った。 『あっ,あぁ。』 ツバサもまたビックリしていた。 この時,ツバサは彩乃の事が頭をよぎった。 『この新人戦を勝ち抜いたら彩乃に答えを伝えよう。』 そう心に誓ったのだった。
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