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それから とても長い時間が過ぎた。
「しばらくこっちの親戚の家にお世話になってるの。夏休みが終わる頃には,向こうに帰っちゃうから・・・。あっ!ジャージ貸してくれて ありがとね。」
彩乃は そう言い残してツバサの部屋を後にし,帰っていった。
家まで送ってあげたいとも思った。
だが,身体が動かなかったのだ。
それから2,3日ツバサは,試合の疲れから部屋にこもりがちになり,自分の事を責め続けていた。
だが,ジッとしている事が性に合わないツバサは,外にブラブラと出かけることも多くなった。
だが,その先々で彩乃と会うことはなかった。
家などにも連絡は一切なかった。
これが,彩乃との別れなのかもしれないと,ツバサは感じていた。
彩乃が沖縄へと帰る日さえ何も連絡がなかった。
゛キーンコーンカーンコーン ゛
長かった夏休みも終わり,秋の涼しい風の中 学校が始まった。
今となっては 夏の暑さなど,どこにもない。
彩乃がいた夏が終わりを告げたのだった。
゛永遠゛を信じていたが,学校のチャイムによって粉々に崩れ散った。
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