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゛ピュッ…゛
゛パーン!゛
「ストラーイク!」
新人である一年生の実力をみるための,紅白戦が行われた。
ツバサの球は二年生を相手にしても十分通用していた。
「ツバサ。今日もお疲れ~。」
ツバサの相棒である大樹が近寄りながら言った。
『おう。大樹もな。』
「お前の球なら関東大会だって夢じゃないよ。」
大樹もまた自信に満ちていた。
『けど,油断はできないよ。』
そお言いつつも,ツバサもまた自信に満ちあふれていた。
そのツバサの姿は彩乃もこっそりと窓から見ていた。
夜は鈴虫が鳴くくらい涼しくなった。
ツバサはそれでも,日課となった走り込みをしていた。
『明日は,いよいよ新人戦か。』
高ぶる闘志を押さえながら家へと帰る途中,彩乃の姿があった。
「よかったぁ。ツバサ君に会えて。」
息を切らしながら言った。
「これ,私が作ったお守りなんだけど…よかとたら,もらって。」
息を整えながらお守りをツバサの前へとさし出す。
ツバサは嬉しそうにお守りを受け取ると,
『ありがとな。
安田,走って来たのか?』
彩乃を気遣いながらも,お守りを眺めている。
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