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「明日から試合だから忙しいと思って。」
そお言った彩乃の声は息切れ声ではなかった。
『ホントにありがとな。絶対に勝つから。』
ツバサは,自信にみちている。
「うん。」
彩乃は大きくうなずいた。
その後,夜も遅かったこともありツバサは彩乃を途中まで送っていった。
次の日,新人戦の初戦にふさわしく,雲一つない秋晴れとなった。
ツバサたちの学校,第一中学の初戦の相手は,南第二中だった。
「プレイボール!」
審判の声がグランドにこだまする。
そして,一斉に応援の声や吹奏楽の演奏が始まった。
ツバサは,マウンドに立ち深呼吸をした。
ツバサは危なげない立上がりで,南第二のバッターを抑えていった。
試合は滞りなく進んだ。
後半に入ると,ツバサの投げる球は乱れ始め,2点を先取されてしまった。
そのまま,試合は流れた。
ツバサは毎回のようにランナーを出したが,南第二に点を取られることは,なかった。
最終回,9回の裏。
ツバサたちの第一中の攻撃。
この回の一番最初は,大樹からだった。
大樹は初球を見事にはじき返し,1塁に走った。
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