第1章『彼女からの告白』

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「明日から試合だから忙しいと思って。」 そお言った彩乃の声は息切れ声ではなかった。 『ホントにありがとな。絶対に勝つから。』 ツバサは,自信にみちている。 「うん。」 彩乃は大きくうなずいた。 その後,夜も遅かったこともありツバサは彩乃を途中まで送っていった。 次の日,新人戦の初戦にふさわしく,雲一つない秋晴れとなった。 ツバサたちの学校,第一中学の初戦の相手は,南第二中だった。 「プレイボール!」 審判の声がグランドにこだまする。 そして,一斉に応援の声や吹奏楽の演奏が始まった。 ツバサは,マウンドに立ち深呼吸をした。 ツバサは危なげない立上がりで,南第二のバッターを抑えていった。 試合は滞りなく進んだ。 後半に入ると,ツバサの投げる球は乱れ始め,2点を先取されてしまった。 そのまま,試合は流れた。 ツバサは毎回のようにランナーを出したが,南第二に点を取られることは,なかった。 最終回,9回の裏。 ツバサたちの第一中の攻撃。 この回の一番最初は,大樹からだった。 大樹は初球を見事にはじき返し,1塁に走った。
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