第1章『彼女からの告白』

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その後,今までつながらなかった打線がつながり,満塁の場面でツバサの番が回ってきた。 『マジかよぉ。打てる自信ない…。』 ツバサは弱気になっていた。 フッとポケットに手をやると,彩乃からもらったお守りがあった。 ツバサはお守りにそっと触れ,目をつぶり深呼吸をした。 ゛頑張って!゛ 一瞬,彩乃の声が頭に響いた。 『そうだ。負けられない。』 ツバサはそお思い,闘志が甦った。 バッターボックスに立った。 一球目,二球目は見逃し。 そして,三球目。 ゛カキーン゛ ボールは空高く舞い上がった。 彩乃も祈るようにボールを,そしてツバサを見つめていた。 また,ツバサもボールの行方を追っていた。 時間がゆっくりと進んでいると錯覚さえしそうだ。ボールが地面についた瞬間,大樹をはじめ一斉にホームベースへと走り出した。 そして,逆転のランナーがホームへと滑り込んだ。 しばらく,音のない世界が広がった。 「セーフ!」 審判が判定をたかだかに告げた。 観客席は歓喜と悲しみの声に包まれた。 ツバサたちは,見事に初戦を勝ち抜いたのだった。
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