第1章『彼女からの告白』

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それから第一中は,勢いづいたのか,順調に勝ち進んだ。 そして,海王中との決勝戦。 その日は雲が厚く,どんよりとしていた。 ツバサはこの日も順調な立上がりを見せた。しかし,両校とも打線はつながらず投手戦へともつれ込んだ。 そして試合の後半。 最初に乱れ始めたのは,ツバサの方だった。さらに追い討ちをかけるように,小雨が降りだした。 この時のツバサは気力で投げ続けた。 いよいよ,最終回。 「ここで,点をとれば優勝もめじゃない…かも。」 誰かが呟くように言った。 ツバサは誰が言ったかさえもわからない,そんな状態だった。 ゛カキーン!゛ ゛カキーン!゛ 雨の中,続く試合。 ツバサたち第一中は貴重な1点を追加した。 そして,海王中の攻撃。 ツバサはマウンドへ立った。 一人目は外野フライ,二人目は内野ゴロへと打ち取った。 そして最後のバッターが立つ。 応援は絶好調に達している。 チア部の彩乃も,もちろん応援していた。 もうろうとする意識の中,ツバサは渾身の力をふり絞って投げた。 ゛ピュッッ゛
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