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それから第一中は,勢いづいたのか,順調に勝ち進んだ。
そして,海王中との決勝戦。
その日は雲が厚く,どんよりとしていた。
ツバサはこの日も順調な立上がりを見せた。しかし,両校とも打線はつながらず投手戦へともつれ込んだ。
そして試合の後半。
最初に乱れ始めたのは,ツバサの方だった。さらに追い討ちをかけるように,小雨が降りだした。
この時のツバサは気力で投げ続けた。
いよいよ,最終回。
「ここで,点をとれば優勝もめじゃない…かも。」
誰かが呟くように言った。
ツバサは誰が言ったかさえもわからない,そんな状態だった。
゛カキーン!゛
゛カキーン!゛
雨の中,続く試合。
ツバサたち第一中は貴重な1点を追加した。
そして,海王中の攻撃。
ツバサはマウンドへ立った。
一人目は外野フライ,二人目は内野ゴロへと打ち取った。
そして最後のバッターが立つ。
応援は絶好調に達している。
チア部の彩乃も,もちろん応援していた。
もうろうとする意識の中,ツバサは渾身の力をふり絞って投げた。
゛ピュッッ゛
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