第1章『彼女からの告白』

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どれだけ,深い眠りへと入っていたのだろうか。 目を覚ました時,外は明るく輝いていた。 ゛コンコン゛ 突然ドアをノックされた。 『はーぃ。』 ツバサは親か看護師だろうと適当な返事をした。 「失礼しま~す。」 どこか,聞き覚えのある声だ。 「元気そうで,よかったよ。」 ツバサは,目を真ん丸にしている。 そこにいたのは,親でも看護師でもなく,花束を持つ彩乃が立っていた。 彩乃に会うのは新人戦の始まる前夜 以来だった。 『この右腕以外は元気なんだけどな。』 彩乃におどけたように笑いかけて言った。 彩乃は心配そうな顔を浮かべていた。 そしてその心配を悟られないために,少し引きつったような笑顔で言った。 「優勝おめでとう。」 ツバサは素直に喜んだ。 『ありがとう。安田のお守りのおかげだよ。』 ツバサは少年のような笑顔を見せるが,怪我の右腕が痛々しい。 『俺,安田に言いたいことがあるんだ。』 ツバサが言うと,それまでの病室とは時間の流れが変わったように,緊張と沈黙が支配した。 「うん。」 彩乃はうなずいた。 『俺さ。素直になれなくて言えなかったけど・・・』
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