第2章『絶望と復活と,ときどき別れ』

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゛第1節~絶望からの復活~゛ 外は冷たい風が吹き,厳しい寒さが冬の訪れを感じさせていた。 彩乃と付き合い始めて一ヶ月が過ぎようとしていた,ある日曜日のこと。 ツバサは病院の先生に呼ばれ診療室へと入った。 先生は深刻な顔をしながらレントゲン写真を見つめていた。 そして,おもむろに口を開いた, 「真鍋ツバサくんだね?」 ツバサはコクンとうなずく。 「君には大変言いにくいんだけどね・・・野球は,もおできないかもしれない。」 先生の言葉が重くツバサにのしかかる。 『でも,リハビリとかすれば,また・・・できますよね?』 ツバサは不安と絶望感で必死になって聞いた。 しかし,先生がうなずくことはなかった。 「ツバサくん,まず腕なんだが,疲労骨折しているんだ。けれど,腕は時間がたてば治る。しかし・・・肩は限界を超えてしまったんだ・・・」 ツバサは野球ができなくなる寂しさと恐怖に襲われていた。 『先生!治してください!お願いですから・・・』 ツバサは泣きながら頭を下げ,頼み込んだ。けれども,先生はそんなツバサから目を背けたままだった・・・。
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