第3章『悪夢の正夢』

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第一節~擦れ違い~ 夏も終わり,青々としていた葉も紅葉を初めていた。 ツバサは,まだ馴れない左肩を夏大会で酷使してしまったため,大事をとって,秋大会は出場する事ができなかった。 彩乃も足首を捻ってしまったため,練習もままならない状態だった。 そんな中,この二人が付き合い始めて一年という月日が過ぎようとしていた。 ツバサと彩乃は学校の放課後など,会う回数が以前よりも増えていた。 夏の時よりも,少し部活が落ち着いたからだろう。 ある空の澄んだ秋晴れの日のこと。 「ツバサ?今日は…何の日かわかる?」 ふっ,と彩乃が聞いた。 『えっ?普通の日じゃないの?』 ツバサは,問い掛けで変えした。 「本当に・・・わかんないの?」 彩乃は,深刻な顔をしてツバサに詰め寄る。 『そんなこと言われても・・・。』 ツバサは,思い当たる節がみつからなかった。 彩乃は,悲しそうな表情を浮かべて,何も言わずに帰ってしまった。 ツバサも何度も彩乃のてを掴んだが,その度に振り払われてしまった。      
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