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以下に示す事柄は、江田島の話を基に、警視庁新宿署の山田路善三警部に詳細の確認を取り、間嶋充生が要約してまとめた物である。
記述内容に、虚偽の記載はされていない。
※文中()内の表記については、その限りでは無い。
【事件全容】
一週間程前、一人の女子高生が何者かに殺害された。
殺害現場は、被害者の恋人である大学生が住む、アパートの一室だった。
死因は、背中を鋭利な刃物で刺された事による失血死。
凶器は見つかっていない。
第一発見者は、部屋の住人である大学生。
室内には、争った形跡と、家具を物色した形跡があった。
管轄の警察署は、現場の実況検分から、
『怨恨』と『物取り』の両面で捜査を進め、やがて四人の容疑者が捜査線上に浮かび上がった。
【捜査メモ】
【被害者】
◇望月カンナ(18)Ａ型
恋人と半同棲の状態を続けていた。最近、恋人の浮気が発覚し、喧嘩が絶えなかった。
アルバイト先同僚からのストーカー行為に悩まされていた。
【容疑者】
◇高木雅宏(20)Ｏ型
都内某大学に通う。被害者とは、浮気が原因でもめていた。しかし、遺体発見時には我を失う程号泣。
(佐々木とは飽くまでも浮気で、望月を愛していたと主張)
(根岸の盗品から、腕時計を自分の物であると主張)
当夜のアリバイは無し。
◇佐々木望美(19)Ｂ型
高木の大学の後輩で、彼に対して横恋慕を抱き、被害者本人に高木との浮気の事実を語った張本人。事件当日の日中、被害者のアルバイト先に現われ、高木と別れる様迫り、口論を演じている。
(高木とは相思相愛の間柄であると主張)
当夜のアリバイは無し。
◇井上優(28)AB型
被害者と同じ職場で勤務しており、彼女に一方的な恋心を抱いてストーカー行為に及んでいた。事件前夜、被害者との激しい口論を、多数の従業員が目撃している。事件当日、職場を無断欠勤している。当夜のアリバイは無し。
◇根岸隆靖(42)Ａ型
被害者の事件直後、近隣の住宅で空巣行為を働いていた。警邏中警官による職質拒否から、公務執行妨害の現行犯で逮捕。
被害者との個人的関連は無いと思われるが、彼の衣服から彼女と同型の血痕が採取された。
(本人は自分の鼻血だと主張している)
彼の盗品から、高木所有の腕時計が発見されている。
(本人は、高木の部屋への侵入は否定している)
当夜のアリバイは無し。
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