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<2> 「江田島さん、そいつぁ警察の仕事だ。俺が出る幕じゃあないよ」 新庄は、まだベルギーワッフルの事を根に持っているのか、何やら不機嫌そうに答えた。 「そこまで捜査が進んでるんだ。後は時間の問題だろう」 「それはまあそうなんですがね。ただ、警察も後一歩という決め手が無いらしいんですよ。そこで相談なんですが」 江田島は、自分の携帯電話を何やら操作した後、その画面を開いたままで新庄にそれを手渡した。 「被害者の望月という女性は麻里亜の友人だった訳ですが、その死の直前、彼女が麻里亜に謎のメールを送っていたらしいんです」 江田島から携帯を受け取ると、新庄はそれでもまだ興味の湧き切らぬ表情を浮かべたまま、その画面に目を落とした。 新庄の表情が一変する。 「こ、これは…」 新庄のその反応に満足したのか、江田島はさらに言葉を繋いだ。 「要するにそれは、被害者の望月さんが麻里亜に遺した、ダイイング・メッセージではないかと、思うんです」 江田島の言葉の後、携帯の画面を見つめる新庄に、一同の視線が集中した。 「…これが、ダイイング・メッセージですって?」 新庄が、眉間に深い縦皺を浮かべたままで声を絞り出す。 「いや、僕が勝手にそう思い込んだだけなんですが…、新庄さんはどう思われます?」 江田島は、新庄の新たな反応を受けて、そう補足した。 さらに新庄は、その後もしばらくの間携帯を見つめていたが、やがて顔を上げ、奇妙な言葉を口にした。 「ちんじゃおろーすー」 江田島は元より、間嶋や優花までもが、その新庄の言葉に怪訝な表情を浮かべる。 「は?」 江田島が異を唱えると、新庄はさらに言葉を続ける。 「昨日はちんじゃおろーすーごちそうさまでした。今度は、横浜の中華街に連れてって欲しいなあ。だって私、江田島さんと一緒に食べる食事─」 「わあ!わあ!わあああ!」 新庄の口から発せられる謎の呪文を遮って、江田島が彼の手から携帯を奪い取った。 「ど、何処を、何を読んでるんですか!」 「いや、私は何処も触っとらんですよ。渡されて、表示された画面を読んだだけです」 江田島が、顔を真っ赤にして携帯を操作している。耳たぶまで真っ赤である。 新庄は、何やらにやにやしている。 状況を把握して、優花が耐え切れずに吹き出した。 間嶋も漸く理解し、それに釣られて笑った。
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