5396人が本棚に入れています
本棚に追加
ザーー……
外では雨が降っていた。時々遠くで雷の落ちる音がする。嵐はとても酷く、強い風が小さな小屋に叩きつけられていた。
部屋の真ん中にテーブルがひとつ。ちょうど4人で座れるくらいの大きさのテーブルだ。
そこで1人の男が何かをしていた。
男はその手を止めると背もたれにもたれ掛かり、不安そうな表情で天井を見上げた。
しばらくすると、部屋の奥にあった扉が開き、1人の女性が出てきた。
「ロイ。やっとあの子寝たわ」
女性は男に向かって言った。
「そうか…じゃあこれを置いてくるよ。」
ロイと呼ばれた男は立ち上がり、テーブルに置いてあるものを持って女性が出て来た部屋へと入っていった。
女性は椅子に腰掛け、ロイが入っていった扉を見つめながら大きく溜め息をつく。
ロイは部屋から戻ってくると女性の前に座った。
「リリム…やはり私もあの子のそばにいたほうがいいのでは…」
「大丈夫よ、ロイ。私がついてるもの。それにあの子のことは彼が迎えに来てくれるから」
リリムと呼ばれた女性が優しく答えた。
声は微かに震えていたが、リリムはそっと微笑んだ。
「それに…あの子に魔術をかけておいたから。彼の城に着くまでの間…あの子を守ってくれる魔術を。」
リリムはロイの手を握った。そうは言ってもやはり心配なのか、彼女の手は震えている。
「あの子は私達と一緒にいてはいけないの…強くなるまでは…」
「そうだな…」
ロイは溜め息をつき、奥の扉を見つめた。
リリムはそんなロイをなだめるように、強くその手を握った。
最初のコメントを投稿しよう!