序章

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突然大きな雷の音とともに同時に入り口の扉が粉々に砕け散った。 そこにはフードを深く被った者が立っていた。 背が高く肩ががっしりしている。 顔はフード隠れているのでよく見えないが、体つきからしてきっと男だろう。 2人は立ち上がり、ロイは壁にかけてある剣に向かって走り出した。 「水………ネよ…力………与え…………汝…………全…………を…………まん…」 男が何かを呟くと、その周りに雨が集まり水の球を作り出した。 水の球は2人のほうへと勢いよく飛び出す。 「切り裂け!ウィンドカッター!」 リリムが叫ぶと水の球は空中で細かく切り裂かれ水滴に変わった。 その間にロイは剣を手にすると、男に向かってその剣を構える。 リリムはロイのそばへ駆け寄り、男を睨み付けた。 「流石リリム・フェイレス。詠唱無しで魔法を放てるとは…」 男はクックッと怪しく笑いながらリリムに言った。 「私を知ってるのね…」 リリムは警戒しながら男に向かって言った。 「当たり前ではないか…リリム・フェイレス… 前の戦争で最も強い風を使うと言われた… 詠唱破棄で速攻魔法を使い、城主を大勝に導く嵐の魔術師…」 男はリリムを睨み付け、ロイのほうに目をやった。 「ロイ・フェイレス… 戦争でお前がいる城は負け無しと言われた戦士…数多の死体を乗り越えて勝利を手にする炎の力を宿した赤き騎士…」 男はにやりと笑うとロイに向けて手をかざした。
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