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ロイはただならぬ雰囲気を察知し、低く身構えた。
男が何かを唱えると、かざした手が一瞬でロイの首もとへと移動した。
男はその手でロイの首を締め始める。
「ロイッ!」
リリムは叫んだ。
男の手はロイの首をギリギリと締めあげていく。
ロイは必死に逃げ出そうとするがその手は力を緩めない。
「切り裂け!ウィンドカッター!」
リリムは男に向かって魔法を放った。
男は面倒臭そうに空いている手をかざした。
その手にリリムの魔法は吸い込まれていく。
「なっ…!?」
リリムは驚いた。
男はニヤリと笑うと、ロイをリリムのほうへと軽々と投げ飛ばす。
ロイはリリムにぶつかり、2人は部屋の奥まで吹き飛んだ。
壁にぶつかり床に倒れると、ロイは呻きながら剣を床にさし、それを支えにして立ち上がった。
リリムは床でうずくまっている。
「くそっ…!お前は何者なんだ…!魔法を消滅させるなんて…」
ロイは震える声で男に向かって叫んだ。
「私が分からないか…ロイ…」
男は静かに言った。
その声は悲しみに満ちている。
「お前なんて知らないっ…!」
「それは残念だ…」
男はそう言うとロイに向かって手を伸ばした。
「闇の精霊シャドウよ…汝の力を我に与えたまえ……漆黒の剣で全てを貫き…魂を闇へと引き込め…ダークソード!」
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