序章

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空間から無数の黒い剣が男の周りから現れ、ロイめがけて飛んでいく。 ロイは剣で防御しようとしたが無理だと感じ、死を覚悟して目を閉じた。 「巻き込め…ウィンド…ウォール…」 声を聞いてロイは目を開けた。 目の前で風の壁が渦巻いて黒い剣を巻き込んでいる。 足元ではリリムが魔法を放っていた。 「リリムッ!」 ロイはリリムの隣にしゃがみこんだ。 リリムは微かに微笑んでいる。 「ロイ…良かった……助かっ……」 リリムの言葉が急に途切れた。 リリムの体には黒い剣が刺さっている。 リリムは口から血を吐き、瞳に涙を浮かべながらそっと目を閉じた。 「ハハハハハハハハ!リリム・フェイレスは死んだ!偉大な嵐の魔術師も闇の前では無力なのだ!」 男は小屋に響くくらいの高笑いをし、そしてロイを見た。 ロイはリリムを抱きかかえ、何度もその名を呼びながら涙を流している。 それを見た男は嘲るように鼻で笑った。 「あの赤き騎士がたかだか女1人ごときで涙を流すのか。なんとも下らない」 ロイは男の言葉でぴくりと反応し、剣を持ち男を睨み付けた。 その目は怒りに満ちている。 「お前…よくもっ……」 ロイは男に向かって駆け出した。 男は水の球をロイに飛ばすが、ロイは気にせず突っ込んでいく。 男はロイの剣をかわし首を掴んだ。
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