5396人が本棚に入れています
本棚に追加
空間から無数の黒い剣が男の周りから現れ、ロイめがけて飛んでいく。
ロイは剣で防御しようとしたが無理だと感じ、死を覚悟して目を閉じた。
「巻き込め…ウィンド…ウォール…」
声を聞いてロイは目を開けた。
目の前で風の壁が渦巻いて黒い剣を巻き込んでいる。
足元ではリリムが魔法を放っていた。
「リリムッ!」
ロイはリリムの隣にしゃがみこんだ。
リリムは微かに微笑んでいる。
「ロイ…良かった……助かっ……」
リリムの言葉が急に途切れた。
リリムの体には黒い剣が刺さっている。
リリムは口から血を吐き、瞳に涙を浮かべながらそっと目を閉じた。
「ハハハハハハハハ!リリム・フェイレスは死んだ!偉大な嵐の魔術師も闇の前では無力なのだ!」
男は小屋に響くくらいの高笑いをし、そしてロイを見た。
ロイはリリムを抱きかかえ、何度もその名を呼びながら涙を流している。
それを見た男は嘲るように鼻で笑った。
「あの赤き騎士がたかだか女1人ごときで涙を流すのか。なんとも下らない」
ロイは男の言葉でぴくりと反応し、剣を持ち男を睨み付けた。
その目は怒りに満ちている。
「お前…よくもっ……」
ロイは男に向かって駆け出した。
男は水の球をロイに飛ばすが、ロイは気にせず突っ込んでいく。
男はロイの剣をかわし首を掴んだ。
最初のコメントを投稿しよう!