5396人が本棚に入れています
本棚に追加
日が昇り大地を照らし出す頃、馬に乗った3人の男達がやって来た。
先頭にいた男は目の前の惨状を見て馬を止め、息を呑んだ。
「何てことだ……」
男の目の前には瓦礫の山が広がっていた。
その男は馬から降りると家の瓦礫を眺めた。
すると瓦礫の下から声が聞こえてくる。
最初は聞き間違いかと思ったがちゃんと聞こえている。
幼い子供の泣き声が。
男は瓦礫のそばへと行くと、声が聞こえる所で立ち止まり、瓦礫をひとつひとつ丁寧によけ始めた。
奥のほうで何かが光り輝いている。
「エリアス様!危ないですよ!」
1人の男が叫んだ。
「大丈夫だ。待っていろ」
エリアスと呼ばれた男は、馬に乗った男達にそう言うとまた瓦礫をよけ始めた。
しばらくすると、ようやく光っているものの正体が分かった。
それは2歳くらいの子供だった。
エリアスは手を伸ばし子供を抱き寄せる。
子供に触れると同時に光は消え、子供だけが残った。
子供は泣きじゃくり、頬や腕などにかすり傷を負っている。
エリアスは優しく子供の頬を撫で、うっすらと滲んでいた血を拭った。
ふと子供のいた場所に視線をを落とすとそこには一枚の紙が落ちていた。。
エリアスはそれを広げて読み始める。
読み終わるとエリアスの目には涙が浮かんでいた。
エリアスは涙を拭うと子供のほうへと視線を落とし、愛おしそうに抱き締めた。
子供は人の温もりを感じてか、いつの間にか泣き止んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!