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エリアスは子供を抱いたまま瓦礫から離れ、1人の鎧を着た男のほうへ歩き、男に耳元で何かを呟いた。
鎧を着た男は他の2人の元へと行くと、3人とも馬から降りて瓦礫の山の中にある何かを探し出した。
エリアスは自分の馬に跨り、子供を落とさないよう大切に抱きながら男達を待った。
男達が瓦礫の山から出て来た頃には太陽が頭の真上昇っていた。
男達の手には何か2つのものが抱きかかえられている。
エリアスはそれを見て悲しさと虚しさの入り混じったような顔をし、眉を寄せた。
1人が大事そうに馬に何かを乗せ、馬に跨った。
他の2人も馬に跨ると、エリアスに目をやった。
エリアスはゆっくりともと来た道を引き返し始め、男達もエリアスについていく。
しばらくしてエリアスは紙を見返し、静かに呟いた。
「この子は自分の親を知らずに育つのだな…私がこの子を育てよう…そしていつか時が来たら…全てをこの子に教えるよ……」
エリアスは自分の腕の中で眠る赤毛の子供を寂しげに見つめた。
それから深く息を吐くとエリアスは前に向き直し、男達を急がせた。
─君達のような強い子に…この子を育ててみせるよ…ロイ…リリム…フェイレスの名に恥じないくらい強く……2人共……見守っていてくれ……
沈みだした太陽が男達と1人の子供を赤く照らし出していた。
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