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「ねぇ、あたしに対して好きとか愛してるとか言わないでね。」
唐突に言った言葉に、彼はきょとんとした顔をした。なにその間抜けな顔、と彼を笑ってやった。
「普通は言ってほしいもんなんじゃねーの?」
ムッとしたようにそっぽを向いて、ぼそりと呟く。
彼にしてはまともな意見。
「それは一般論でしょ?あたしはいらない。」
近くにあった雑誌に手を伸ばし、ぱらぱらと捲りながら、彼に冷たく言ってみた。
私の姿を見て、彼はため息一つ。
「お前ってつくづく不思議なやつだな。」
頭を掻きながら、本当にわからないと言った様子の彼に、自然と笑みが溢れる。
「余計なお世話よ。」
また冷たく答えて、然り気無く彼に近づく。
私の言葉の意味を、彼が理解するまで答えは言わないようにしよう。
答えてしまったら、わかった瞬間のアホ面を見る楽しみが減ってしまうでしょ?
(言葉より隣にいてくれるだけでいいって意味なのにね!)
END
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