民謡『森のクマさん』

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見習い魔法少女アリスは、薬草を取るため森へ来ていた。 ここで熊と接触してしまうのだが、アリスにとっては特別珍しい事でもない。 何故なら、ここは森の中。 薬草を取りにくるのは毎日の事で、獣が寄り付かぬハズがない。 それでも笑顔を保つのは、若干にして彼女の魔法に勝てる動物など、存在しないからである。それほど英才な魔術師であった。 近付いて来る大熊。 彼女が、いつものように魔法で追い払おうとした矢先、熊が口を開いた。 「…お逃げなさい。」 小さく荒げたその声と、酷く歪んだその顔から、どこか苦しんでいる様子が見て取れる。 彼女は熊の気持ちを察し、無益な殺生を避けるため、逃げる事にした。 熊に呪いがかかっているからである。 どこぞの魔術師が、悪戯か何かに呪いをかけた。その対象がこの熊だと、見ただけでも大体の推測はできた。
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