民謡『森のクマさん』

4/8
前へ
/8ページ
次へ
この歌は、呪いを浄化する力がある。 だが熊にかけられた呪いは、消えれば対象の命を奪うものだと知っていた。 それでも、呪われて、体を奪われたまま死んでいくよりはマシだ。 だからこれがせめてもの礼。 彼女の歌声を聴いた熊の表情が和らいだ。 体の呪いが浄化されていく。 それと共に、人間の姿に変わっていった。 だが、驚いた事に、その人間はティムだったのである。 慌ててティムを抱き抱えるアリス。 ティムは、最後の力を振り絞り、アリスにイヤリングを渡した。 「落とし物…だよ…」 ティムは、安心した表情を浮かべ、息を絶った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加