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初めてこのイヤリングを貰った時も、この台詞だった。
誕生日、照れ隠しに落とし物だと言われ、何気なく渡された。それがこのイヤリングだった。
思い出と涙がこみ上げて来る。
悲しみ。
後悔。
最後に芽生えた悔しさは、自分の師匠に向けられた。
ティムに呪いをかけたのは、師匠以外に考えられなかったからである。
魔術師の掟。
正式な魔術師になるためには、愛する者を殺さなければならない。
アリスは十分な素質を持っていた。
見習いのままなのはこのためであった。
そんな彼女を見ながら、師匠が言っていた言葉を思い返す。
「早く誰か好きになれ。そんでそいつを殺るんだよ。」
「あんたが早く一人前にならないと、あたしの株が落ちるよ。」
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